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インプラント

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題「インプラント治療費にあなたは満足、不満足」

*高すぎないかインプラント治療

第1章入れ歯からインプラントへ

●噛めない入れ歯の悩みを解消(入れ歯0への挑戦)

1本でも歯を失うということはさまざまな不便を強いられます。そこで失った部分に入れ歯(あるいはブリッジ)を入れるという治療法がこれまでの中心となる治療法でした。しかしながら、"入れ歯"は文字通り、人工的な歯を口の中に入れるか、あるいはブリッジのように金属の止め具で装着するだけですから、非常に不安定なものです。自然の歯のように歯根があるわけではないからです。あくまでも歯茎の上にのっているだけであり、ブリッジであれば両隣の歯に支えられているだけです。

ですから「入れ歯ではやはり自分の歯のようには噛めない」「入れ歯がすぐにずれてしまう」「食事が味気ない」「ブリッジの金具が当たって痛い」「合わなくなって何度も作り直した」等々の不満が出てきてしまいます。

やはり、入れ歯はあくまでも便宜的なものであり、元の自分の歯のように噛めるようになるわけではありません。歯のない口元をカバーするという意味では十分に目的を果たしてはいても、噛むという機能性の面では満足するものにはなりえないといえます。

歯を失った場合には、これまでは入れ歯をするほかはなかったのです。満足に噛むことができなくても、諦めざるを得ませんでした。

しかし、40年ほど前からインプラントという新しい治療法が生まれました。これは"第3の歯"といわれていますが、それくらい自然の歯の状態に近いことが特徴です。自分の歯のようにしっかりと噛めるので、硬いものでもなんでも食べられます。ですから、今までの入れ歯に比べると、まさに夢のような治療法なのです。

●アンチエイジングの最たるものがインプラント治療

最近、アンチエイジングやクォリティオブライフという言葉が流行していますが、誰もが若返りたい、生活の質を高めたいと思うのは当然の気持ちです。その具体的手法として肌の美容や育毛などいろいろあり、マスコミなどでさかんにPRしていますが、しかしなんといっても、口元が綺麗で、食生活が満足にでき、自分の歯のようになんでもよく噛めるということが私たちにとって、最も重要な若返りの要素なのではないでしょうか。

考えてもください。いくら肌が綺麗になって皺が少なくなっても、入れ歯で硬い食事ができないとしたら食べる楽しみがなくなるし、また入れ歯を頻繁に出し入れしなくてはいけないとしたら、見た目も悪く、かなり不快なことはありませんか。そういう意味でアンチエイジングの優先順位をつけるとしたら、入れ歯をインプラントに変えることではないかと思います。

私が、現在「入れ歯0への挑戦」と銘打ってインプラント治療に専念しているのは、そういう意味があり、それも出来る限り、誰もが安心して治療を受けられるようにすべきだと思います。

●周囲の歯に負担をかけないインプラント

永久歯は一度失ってしまうともう二度と生えてきてはくれません。もう一度、歯が蘇ってくれたら──そんな夢を叶えてくれるのがインプラントです。

インプラントはチタンという金属でできた人工の歯根を歯茎の骨に埋め込んで、その上に人工歯を装着するというものです。自然の歯と同じようにチタン製の歯根がしっかりとあごの骨に結合するので硬いものでも噛むことができるのです。この点でこれまでの入れ歯やブリッジの咀嚼力とは比べものになりません。インプラントをされた方は「どの歯をインプラントにしたのか、わからないくらい」と言う方も多く、それくらい自然の歯のように噛めるようになります。

また、インプラントの特徴はほかの歯に頼ることなく、歯根によって自立しているので周囲の歯に負担をかけません。ブリッジの場合は両側の歯が支えなければいけないので、どうしてもその歯に負担がかかってしまいます。あるいは健康な歯を削ってその上に被せることもあります。そうなるとせっかくの虫歯のない健康な歯を傷つけてしまうことになります。

また、負担を強いられた歯はどうしても寿命が短くなってしまい、結局はさらに歯を失っていく結果を招くことになります。

インプラントはこうした悪循環に陥ることなく、周囲の健康な歯も温存することができるのです。しかも、咀嚼力も蘇り、食事もしっかりと噛んでおいしく味わえます。総入れ歯は"全部床義歯"といいますが、上あごに装着する総入れ歯の場合は上あご全体を覆う義歯床があるため、食事の味がわからないという不満の声も大きいのです。インプラントの場合はこうした義歯床ももちろん必要なく、口の中にブリッジの止め金などの異物もないので、違和感がなく食事が堪能できます。

●インプラント発祥の地はスェーデン

現在のチタン製のインプラント発祥の地はスェーデンです。同国のブローネンマルク博士が、チタンが骨とよく結合する性質を発見したことから、その性質をインプラントに応用することでインプラント治療は飛躍的に発展しました。

それまでも歯を失った部分に人工歯根を埋めるという発想はありました。古くはインカ帝国の時代にはエメラルドの歯根を埋められたミイラが発見されたり、エジプトや中国からは象牙でつくられた人工の歯を持つ人骨がみつかったりしています。

その後、入れ歯が発明されたのは中世ヨーロッパで、象牙や牛の骨を使って人工歯がつくられていたほか、人の歯が売り買いされていた時代もあったようです。

失ってしまった歯の代わりになるものとして古代からさまざまなことが考えられ、実際に試されてきたわけですが、近代に入ってからは人工の歯根として人体に害のない金が使われたり、あるいは整形外科で使われるコバルトクロム合金などを使ったインプラントなどが考案されています。しかし、どれも骨と結合するというよりは排除する作用が働いてしまうため、成功には至りませんでした。

そんな中、スウェーデン・イエテボリ市の応用生体工学研究所所長のブローネマルク博士がある実験を行っていました。骨と骨髄の中の血液循環を調べるために、ウサギの頸骨に特殊な顕微鏡を埋め込んで観察をしていたのです。何ヶ月か経って実験に使っていた顕微鏡を取り出そうとしたときに、顕微鏡がウサギの頸骨にがっちりとくっついて取れなくなっていることに驚きました。顕微鏡はチタンでできていたことから、博士はチタンが骨と強固に結合するという性質をここで発見するに至ったのです。

1952年に、博士はチタンの骨によく結合する性質を"オッセオインテグレーション"と名付けました。オッセオとは「骨の」、インテグレーションは「統合」という意味です。

●欧米では日常医療として普及

ブローネマルク博士は1960年代にはスウェーデンのイエテボリ大学に移籍して膨大な基礎研究を続けながら、15年の歳月をかけてブローネンマルクシステムというインプラント治療法を確立し、 1981年に学術論文を発表しました。

実際にインプラントを受けた患者の経過も順調であり、チタン製のインプラントがしっかりとあごの骨に癒着するので成功率は限りなく100%に近いというこの発表に、それまでのインプラントの観念を完全に覆すものとして、歯学界に一大センセーションを巻き起こしました。

しっかり噛めるという機能性の高さにより、患者からの満足度は高く、欧米を中心にたいへんな勢いでオッセオインテグレーション・インプラントは普及していきました。

今では歯を失った場合はブリッジや入れ歯ではなく、まずインプラントを希望する人が多いということもうなずけます。それくらい欧米ではインプラントが日常医療として浸透しています。

日本へは欧米に遅れること10年で、このオッセオインテグレーション・インプラントが上陸し、本格的な普及が始まっています。

このオッセオインテグレーション・インプラントは歯科ばかりではなく、顔面やあごの骨折の際に用いるなど整形外科、顎顔面外科などで広く応用されており、いまや医学界では常識的なテクニックとなりつつあります。

● 患者さま一人ひとりに合ったオーダーメイド治療を

次に実際のインプラント治療について説明をします。

患者さま一人ひとりのお口の中の状態が異なりますから、それぞれの患者さまに最適なアプローチ法を取らなければいけないということがあります。ですから、インプラントは一人ひとりの患者さまにぴったりのオーダーメイドの治療法であるといえます。また、そうでなければ、患者さまに満足のいく結果にはけっしてつながらないだろうということを日々の治療の中で実感します。

実際にインプラント体を埋入する際には慎重を期さなければならないことはいうまでもありません。

というのはあごの骨の中を神経や血管が通っているので、それらを傷つけてはいけないからです。とくに下顎には下顎神経血管束が通っており、インプラントを埋め込む際にここを傷つけてしまうと、口もとの周囲の皮膚の感覚を失う恐れがあるのです。熱さや痛さの感覚が鈍感になってしまい、唇の周囲がピリピリとした感覚が程度にもよりますが、6ヶ月くらい残ることがあります。

また、上顎に関してはその構造が恐ろしく複雑です。空洞も多く、とくに鼻の両側にある上顎洞という大きな空洞が問題となります。ちょうど頬骨に下あたりですが、ここの下部の骨が薄いと上あごにインプラントをした場合に突き抜けてしまうという恐れがあるからです。

そうならないためにも、事前にレントゲンや必要に応じてCT検査を行い、あごの骨の形や厚さ、骨の質、密度等を詳しく調べます。またその中を通る血管や神経などの位置も確かめ、正確に把握しておく必要があるわけです。

骨量という言葉は聞き慣れない言葉かもしれませんが、インプラントを埋める部分のあごの骨がどれくらいあるか、つまり骨量が非常に重要になってくるのです。

インプラントは基本的には金属のネジを埋め込めばそれでよいのですが、骨の量が少ない場合は、人工骨を使用して増骨する必要があります。

● 建物と同じで地盤の造成が必要

インプラントの歯根に当たる部分をフィクスチャー(インプラント体ともいます)といいますが、このフィクスチャーが埋め込む部分のあごの骨が薄かったり、高さが足りなかったりするとフィクスチャーがうまく埋入できません。前述したように下顎神経血管束を傷つけてしまったり、上顎洞に突き抜けてしまったり、歯茎の横からフィクスチャーがのぞいてしまったりします。

いずれにしてもインプラントを埋入する際に土台となるのがあごの骨です。この部分や痩せていてはうまくインプラントが植立できないのです。

このことは建築物を建てる場合とよく似ているといえます。地盤がしっかりしていなければ、上物は傾いたり、ひどい場合には倒れてしまいます。そうならないよう基礎工事をしっかりと行い、規定の深さに柱を立てて土台を堅固にすることで、その上の建物が建てることができるのです。

インプラントの場合も同じで土台であるところのあごの骨の量が十分にあるか、もしない場合には基礎工事をして地盤を造成することになります。

自分は骨の量がどうなのだろうかと皆さん不安に駆られると思います。というのもインプラントを希望される方は歯周病で歯をなくされている方が多いので、歯茎が後退していたり、痩せていたりする方がほとんどだからです。骨の量に自信があるという方は少ないはずです。

実際に私が診る患者さまの多くも骨量としては非常に心もとないというケースが多いのです。

●難症例でテクニックと経験が要求されるインプラント医

以前は骨の量の少ない患者さまの場合、インプラントはできませんといわれてしまうことも多かったと思います。あるいは強引にインプラントしても、やはり何年か後に脱落したり、歯槽骨が吸収しているため、仕上がりが不自然になってしまったケースというのが実際にありました。というのは、顎の骨の高さがないところにインプラントをするのですから、どうしても歯の長さは異常に長くなりがちなのです。現在は骨の量を増やすさまざまなアプローチ法(増骨手術)が確立されているので、こうした状況は改善されつつあります。しかし、経験不足のインプラント医によって、まだまだ噛めればいいという審美性を無視した旧態依然とした治療法が行われていないとも限りません。

また、自然の歯には歯根膜という歯と顎の骨との間を結びつける繊維の束があり、この歯根膜がショックアブソーバーのように噛んだときのショックを和らげたりして上下の噛み合わせの微調整等を行っています。

この歯根膜の有無がインプラントと自然の歯との唯一の違いといってもよいかもしれません。自然の歯の場合は多少の噛み合わせの不具合もこの歯根膜という遊びの部分によって調整が可能ですが、インプラントにはこの歯根膜がないため、噛み合わせの面で少しの狂いも許されないのです。ですから、インプラント医には慎重さと精密さ、そして幅広いテクニックと豊かな経験が必要といえます。

本格的な高齢化社会を迎え、インプラントを新たに手がけるクリニックも増えています。それ自体はとても歓迎すべきことなのですが、"インプラントもできます"と掲げてある歯科医院でも、料金ばかりが一流並みで、一夜漬けの「出たとこ勝負」で手術するクリニックが増えていることも確かです。これは残念なことですが、専門的にきちんとエビデンスに則った勉強を怠らないクリニックであるかどうか、患者さまの方できちんと見極めていただきたいと思います。

●自家骨と人工骨移植で骨量を増やす

全てのケースが、インプラントを単純に埋め込むだけでは満足のいく治療結果には到底なりえないということは前述した通りです。とくに骨量の少ない場合には、建物でいうところの地盤の造成が必要となってくるのです。つまり、インプラントを埋め込むだけの骨の厚みや高さがない場合は、地盤である顎の骨をなんとかして増やさなければなりません。特に、上顎に多いのですが、そのために骨の移植を行ったり、増骨といって骨の量を増やす治療を行います。

自分の骨を移植することを自家骨移植といいますが、インプラントの場合はこの自家骨移植が最もいいのですが、充分な量がとれないので人工骨と混ぜて移植することが多いようです。骨の採取は親知らずの奥の方やオトガイ(下あごの中央部)の部分から取ってきて、それを人工骨と混ぜて足りない部分に移植します。

こうした手術はすべて口の中から行いますので、顔の表面の皮膚に傷をつけるということはありませんのでご安心ください。また、骨を採取した部分はきちんと処置をしておけば、元通りに骨が再生されますので心配はいりません。

ブロック状にカットした骨は高さの足りないあごの部分にネジで止め、周囲を細かな顆粒状の骨で盛り上げ、表面を人工の膜で覆います。こうして移植を終えたあと、歯肉を被せて縫合して数ヶ月間、増骨するのを待つのです。

●骨の厚みがない場合

そのほか、ソケットリフトとかサイナスリフトといって、前述した上顎洞の部分の骨が薄い場合に行う方法があります。"サイナス"とは上顎洞のことをいいます。上顎洞の粘膜を持ち上げて、そこに顆粒状の自家骨や骨補填剤を注入して骨を増骨させて厚みをもたせるのです。

骨ができあがるまで半年から1年くらいかかりますが、そこにフィクスチャーを埋め込むことでしっかりと植立することができます。

骨ができるのは下あごの方が早く、約3~4ヶ月、上あごは5?6ヶ月ほどでインプラントの植立できる硬さの骨になります。

上あごの奥歯のインプラント治療にこのサイナスリフトという治療法が行われています。この治療法が確立されるまでは上あごにインプラントをするのは難しいといわれていました。しかし、このサイナスリフトによって骨の厚みを増すことで、現在では上あごについてもほぼ100%近い成功率をおさめることができるようになっています。

そのほか、GBR(Guided Bone Regeneration=骨再生誘導療法)といって、インプラント体の埋入手術のときにいっしょに増骨治療を行う方法があります。インプラントを埋め込む土台の骨に幅がない場合に用いる方法で、インプラント体を埋め込んだあと、増骨したい部分に骨補填剤などを盛り上げ、その上に人工膜で覆っておきます。そうすると4ヶ月か半年くらいで新しい骨が再生されてインプラント体は完全に骨の中に埋まることができるのです。

このGBRは上下問わず、厚みがない場合に用いる方法で、インプラント体の埋入手術の同時に行えるので治療期間が短くてすむというメリットがあります。

●必要とされる口腔外科の経験と技術

骨の移植については初めて聞かれる方も多いと思います。インプラントではそういったことまで必要なのかと認識を新たにされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

確かに骨を削ったり、切り出したりというのは一般歯科治療ではほとんど行われないことです。こうした手術は主に口腔外科で行っています。身近なところでは親知らずの抜歯の手術などで口腔外科のある大学病院等に行かれた方があるかと思います。口腔外科ではそのほか顎関節症や顎変形症をはじめ、顎の骨折手術、舌や口腔ガンなどの疾患や歯ぎしりやいびき(マウスピース作成)などさまざまな疾患を扱っています。とくにインプラント治療においては重要な役割を果たす分野で、とくに難易度の高い骨の移植などを伴うインプラント治療では口腔外科の治療技術はかかせません。

フィクスチャーの埋入だけであれば、一般歯科でも十分に対応ができますが、骨の移植や増骨というレベルになるとなかなか難しいといわざるを得ません。一般歯科医はこうした手術に慣れていないということと、やはり、この口腔外科の分野の知識と経験がなければ、顎の骨の移植などはすぐにできるものではないからです。

こうしたことから、インプラントの原理そのものは非常にシンプルで単純なものですが、いざ患者さまを目の前にしたときには、どんな症例の方にも対応できるような技術と経験を身につけておく必要があります。患者さまのお口の中の状態が深刻であればあるほど高いテクニックが要求されるといえ、そこにインプラント医の力量の差が現れるといってもいいでしょう。

● 間違いのないクリニック選び

現在のインプラント治療がここまで進歩してきていることはたいへん喜ばしいかぎりです。これまでインプラントが難しいとされてきたケースがどんどん可能になり、多くの患者さまが入れ歯から解放されて快適な生活を送っていらっしゃいます。

ただ、インプラントが高度な医療技術を伴って発達しているだけに、どこでもその最先端の治療が受けられるとは限らないということがあります。インプラント治療を標榜するところであればどこでも、骨の移植などができるとは限らないということなのです。

ですから、インプラントをお考えの方はクリニック選びに関しては慎重にされることをお勧めしたいと思います。

近所だから、通うのに便利だからという理由だけで決めるのは賢明とはいえません。

あくまでもその医師の力量を判断材料に、納得のいく治療をしてくれるかどうか、信頼できる医師かどうかといったことを第一に考えるべきです。

とはいえ、患者さまの立場では実際にはどこにポイントをおいて判断してよいのか、迷われるところだ思います。

そこで私たちプロの目からみて、重要と終われるクリニック選びのポイントをいくつかアドバイスさせていただきたいと思います。

最初にクリニックのHPなどで事前に調べておいてよさそうだなと思ったところがあれば、実際に話を聞きに行ってみることをお勧めします。

最初にカウンセリングを受ける場合が多いと思うので、そこでいろいろな質問をぶつけてみることです。ご自分の歯の状態や噛み合わせについての相談から、インプラントがいいのか、ほかの治療法がいいのか等々わからないこと、不安に思っていることはなんでも聞いてみることです。

そのときに医師の対応によっても、人柄や信頼できるかどうかといったことがなんとなくわかるものです。

また、もしインプラントをするとしたら、どのような治療法を取るのか、先方の医師に確認することもよいと思います。実際に自分と同じような症例があれば、その治療写真などを見せてもらうのもよいと思います。写真があれば、実際にその医師が治療をしたという証拠になるからです。たいていのクリニックでは治療の経過写真などは患者さまごとに保存してあるはずです。

そうしたこちらの申し出を拒んだり、写真がないといった場合は少々怪しい部分がありそうです。そういったクリニックはやめた方がいいかもしれません。

治療経験の目安としては症例数などが重要な指標になると思います。経験年数、治療した患者数(あるいはインプラント治療本数)でだいたいの力がわかります。

たかがインプラント、されどインプラントなのです。

●インプラントの資格について

インプラントに関しては学会が発行する「認定医」や「指導医」という制度があります。日本口腔インプラントはその一つで会員数は4000名以上というインプラントとしては日本最大の団体です。認定医と指導医と合わせて資格取得者は約400名といわれています。そのほか国際口腔インプラント学会、ドイツ口腔インプラント学会、ドイツ国際インプラント学会などがそれぞれに独自の認定医制度を設けています。

こうした学会の認定医であることは一応の目安となるといえます。ただ、資格のない医師の中にもインプラント治療技術の高い方がいますので一概にはいえません。

また、骨の移植や増殖等に関しては口腔外科の分野になりますが、口腔外科に関しては「専門医」制度があります。6年以上の口腔外科に関する研修を受けていること、手術症例が100以上あり、学術論文も5編以上発表していることなどが条件で、そのうえで専門医試験を受けて合格しなければならないという厳しいものです。そのため、まだまだ専門医の数は少ないといえ、また、その多くは大学病院などに勤務しているのが現状で、インプラントの専門医となるとさらに少なくなってしまいます。

ただ、口腔外科の専門医の資格は取得していなくても、同等の経験を積んで実力のある医師はいます。総合病院等での口腔外科勤務の経験の有無、あるいは大学の口腔外科講座への入局経験の有無が目安になると思います。

いずれにせよ資格取得は一つ目安といえ、十分条件ではあっても、必要条件ではないといえます。資格はなくても、腕のいい優秀な医師は探せばいるということなのです。

もう一つ、読者の方は驚かれるかもしれませんが、インプラントの関しては現在の歯科大学のカリキュラムにはありません。簡単な原理程度は学ぶことはあったとしても、実際に治療の実習などはないのです。そのため、卒業してから、インプラント・メーカーの講習会等に参加したり、海外の研修に参加したりして知識や技術を習得しているのが実情です。それぞれのメーカーが講習会を開いており、それを受講したということで証明書を発行しますが、それが技術力の高さを裏付けるものでないことはいうまでもありません。しかし、中には1日の講習会を受講しただけでインプラント治療を始める歯科医もいるので、患者さまにとってはほんとうに迷惑千万な話です。

こうしたインプラント医の現状ということも踏まえて、クリニック選びは慎重の上にも慎重にとお願いしたいところです。

●アフターケアも重要なポイント

インプラントも義歯やブリッジ同様、メインテナンスはとても重要になります。そのための院内施設が完備しているか、衛生観念が行き届いているか、またアフターケアに力を入れているかどうかも歯科医院を選ぶ上で重要なポイントといえます。自分の治療に自信があれば、治療後のケアについてもめんどうみよくできるはずです。逆に治療したあとは一切関知せずということであれば、あとから文句をいわれたり、トラブルが発生して駆け込まれることをある程度予想して事前にそうしたやっかいなことをシャットアウトしていると考えられます。通常はインプラントの保障期間(5年から10年)を設けているはずですので、その点もよく確認してください。だからといって口腔ケアはないがしろにしないでください。

定期検診を受けて口腔内の管理をしっかり行うことでインプラントも長持ちします。ですから、インプラント医とは生涯のお付き合いと考え、一生、気持ちよくつき合えるようなクリニックを選ばれることをお勧めしたいと思います。

アフターケアの中で強調したいのは、インプラントにはウオーターピックという口腔洗浄機が非常に有効であるということです。(写真参照)

これは、同級生である東京医科歯科大学インプラント科の春日井教授も推奨していることですが、インプラントの唯一といっていい物が挟まりやすい欠点を、歯間ブラシに比較して、快適に植物残渣を水流で洗い流し、同時に歯肉マッサージ効果も与えてくれる優れものです。